簡易診断

以下の症状に当てはまる場合は「口と顔に痛みを起こす病気」の解説をご参照ください。
特発性歯痛/顔面痛・舌痛症・口腔灼熱痛症候群/BMSは、特に「特発性口腔顔面痛」の項目で解説します。

目次

慢性で途切れることがない”原因不明の”歯痛・顔面痛

  • 歯やその周りの歯肉に「ジンジン」「じわじわ」する痛みが、何年も持続している。神経を抜いても、歯を抜いても痛みはとまらない。(医師に「非定型顔面痛」と言われたことがある。) →特発性歯痛/顔面痛(頻度 高)
  • 最近生じた歯や顔面の軽度の自発痛、顎の部分に圧迫すると痛いツボがある→咀嚼筋の筋痛
  • 抜歯や口腔顔面部の手術、顔面の帯状疱疹を経験したことがある。その部分の感覚が鈍くなっている。触るとビリッとした嫌な感覚がある。
    神経障害性疼痛(頻度 中)
  • 歯科治療後急速に体調を崩し、日常生活が送れなくなった→「歯科治療後の体調悪化」
  • 脳卒中の後、顔や口腔内に慢性のやけどをしたような痛みが発現、持続している。→視床痛/中枢性脳卒中後疼痛(頻度 低)

慢性で途切れることがない、舌や口腔粘膜の痛み

(カンジダや鉄欠乏性貧血、口内炎などが否定されている場合)
舌痛症・口腔灼熱痛症候群/BMS(頻度 高)

顎関節症のように見える病気

顎関節症と難治性顎関節症
口が開かない→ジストニア・ジスキネジア
大きく口を開けると激痛→舌咽神経痛
食事開始直後にあごがだるくなる・痛む→巨細胞性動脈炎

発作的に起こる、数秒間の顔面の激痛(片側性の2-3秒間の激痛)

  • 歯磨きや洗面時に小鼻の横や頬、口の中に、「ツーン」という数秒間の激痛が生じる。「電気が走るような」「カミソリで切りつけられたような」「針で刺されるような」痛み。普段は全く痛みがない。 →三叉神経痛(頻度 高)
  • 三叉神経痛に似ているが、痛みが目を中心に起こる。発作時には痛い側に、涙が出たり、目が充血する、鼻水(鼻詰まりの場合も)などの症状を伴う。
    →三叉神経・自律神経性頭痛の中の「SUNHA(サンハ)」(頻度 稀)
  • 食事の最初に起こる、瞬間的なのどの奥の激痛。 口を大きく開けたり、飲み込むとき、また味の刺激(酸味や苦み)で、のどの奥、下あごの耳に近いところに、瞬間的な激痛が生じる。→舌咽神経痛(頻度 稀)

60歳以上。食事の最中に起こる顎や側頭部の痛みで、発熱や倦怠感がある。

60歳以上。食事の時、物をかみ始めると顎にだるさや痛みが生じ、食事を続けられない。口も開きづらくなってきた。発熱や倦怠感がある。こめかみや頭皮には軽く触れるだけでも、痛みが生じる。→巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)(頻度 中)

発作的に起こり、数十分間持続する、顔面片側の激痛、痛い側に涙や鼻水が出る

顔の片側に起こる発作性の顔面痛。目から側頭部にかけておこり、発作中は痛みのある側に涙や鼻水(鼻詰まりの場合も)がでる、結膜充血などの自律神経症状を伴う。
→三叉神経・自律神経性頭痛で以下の3つのうちのどれか。①と②はよく似ていますが、治療法が全く違うので自分はどちらのタイプかを見極めてください。

  • 群発頭痛:「上顎の一番奥の歯」に、「のたうちまわる」 ような大激痛が、「発作」のようにおこる。痛みは各30分~3時間、1日2(~8)回程度。発作以外の時には、何でも食べられるし、歯を叩いてみても痛みはない。お酒を飲むと発作がでる。夜中に痛みで飛び起きる事がある。(頻度 高)
  • 発作性片側頭痛:眼窩、眼窩上部から側頭部、上あごにかけての激痛発作が、各2-30分、1日5回以上生じる。(頻度 中)
  • 持続性片側頭痛:一日中持続する片側の頭痛・顔面痛で痛みは軽度~中等度だが、時々激痛になることがある。約半数の人は、目の中に何かが入っているような異物感を感じている。(自律神経症状は目立ちませんがあるはずです。)上または下の奥歯に、軽度で持続性の痛みが生じている(数日~2週間ほど)

急性の持続性の痛み(1-2週間以内の発現)

  • 数日前からカゼをひいている。頭痛といっしょに、歯や顔面にうずくような、重い痛みがでてきた。→急性副鼻腔炎(上顎洞炎)(頻度 冬は高)
  •  2-3日から、歯に持続性のキリキリする痛みが発現。痛みは途切れることなく、どんどん激痛化し、夜も眠れない。→帯状疱疹性歯痛/顔面痛(頻度 中)

口腔感覚に関する異常感

口中に極めて奇異な感覚が生じている(歯肉から粉や金属、糸が出てくる、口蓋に穴が空いている、袋がぶら下がっている など)→体感異常症(セネストパチー)

唾液、味に関する異常感

  • 唾液がドロドロネバネバして気持ちが悪い。
  • 口中に幻味(金属・塩・苦さ)が生じている

顎の位置が変位する病気

  • 下顎や舌、口唇が勝手に動く(不随意運動)
  • 顎の位置が偏位したまま戻らない(片側/前方に偏位)→ジストニア・ジスキネジア
  • 自然(不随意)にくいしばってしまう→シストニア

精神疾患に起因する痛みや違和感

口腔顔面部に痛みや強い違和感が生じている場合で、うつ病や不安症、統合失調症などの既往がある方。

目次